公文の危険性と弊害。こんな子は公文に通ってはならない
お宅は大丈夫?公文式・吉と出るか凶と出るか
上の画像は米国カリフォルニア州サンディエゴに2016年にオープンした公文式算数と読解センターです。
日本国内で約16000教室、海外でも約8000教室とその比率2:1と国内だけでなく海外でも受け入れられてきています。
私は過去に塾産業に長くいて、その経験から公文で結果が出ず乗り換えてきた生徒さんを指導する機会がちらほらありました。
その経験も是非参考にしていただいて公文に行くかどうかを決める一助になればと思います。
賢い親と彼らのサポートありきの公文式
この本に書かれている一番大切なことは公文から出される宿題を家庭でサポートすることです。
どんな風に解いているのか、考え方は合っているのか、進むペースはどうなのか色々なことに目をかけて躓いているときは親が指導しなければならないこともあります。
つまり親のサポートなしに全てを公文教室の先生に丸投げしてはいけないということです。
そして東大生の父親の年収は高い傾向にあるので、母親の専業主婦率も約40%と高く(2012年の調査)、家庭のサポートが手厚いです。
この本に書いてあることなのですが、公文はプリント教材そのものが自分で解き進められる仕組みになっているので先生はサブです。
公文の先生になるのに何の資格もいりませんし、誰でもなれます。プリントが全てなので先生の指導力は重要ではありません。
しかしどんな子供でも自分の力で解き進められるかというとそうではありません。昨今学習障害の子供が増えているからです。
学習障害ではないにせよ、同学年と比べて極端に成績が悪いタイプのお子さんに指導力のない公文の先生(教室によって物凄く先生の質に差があります)と親御さんからのサポートのない状況でただただプリントをやっていると行かないほうがマシなくらいのひどい状況になる恐れがあります。
そのような元公文の生徒さんを何人も見てきました。
公文で結果が出ず脱落してしまう子の特徴
公文算数をやっていても中学に入ってついてこられない生徒さんは文章を読むことに注意力がなく、計算も途中式を書かないのでミスすることが多いです。
国語をやらずに英数だけやってきた子は本当に文章が読めません。
英語に関しては理解よりパターン認識なので多少力になっている部分は認められます。
同年代のほぼ平均以上の学力を有している場合には公文が弊害になることは多くないと思われます。
特に英語と国語の教材は真面目に取り組めばかなり有益だと思います。
平均以上の学力を有し、中学まで公文でどんどん進み割と上位にいた子でも高校の数学で躓いて全く伸びなくなるケースはあります。
公文は辞め時が非常に重要であるという不都合な事実
公文に丸投げしてはいけないということは親が賢く立ち回らなければならないことを意味します。
賢い親という意味は両親が遺伝子的に優秀で子供にも問題がないという意味と、公文の本質を理解して家庭でサポートできるし辞めるタイミングを分かっていることの2つ。
公文の本質を熟知した上で辞めるタイミングを間違えないことが公文の薬であり、公文の本質に無理解で辞め時を間違えると毒になってしまう。
優秀でない親御さんが安いからと公文に通わせると毒になってしまう可能性が高いと思います。
それはプリントをひたすら解くだけなので、自分でわからないところを調べるとか解説を読んでわからない部分を理解するという勉強でも人生でも最も大切なことが抜けているからです。
つまり応用力の全くない子にポテンシャルが低いほどなる確率が上がるのです。
公文の機会的回答が癖になっている成績の悪い子を指導することには大変なエネルギーが必要となります。業者泣かせです。自分で調べたり解説を読んだりわかろうとする努力を一切しようとしないというか脳が動かないといった子が多いです。
自分の頭の中に勝手な間違った公式を持っていてそれに固執するので絶対に正解に到達しない。なんど教えてもそのエラー回路が正常にならない。こんな感触が公文脱落者にはあります。
自営で塾を経営しているのであれば公文の落ちこぼれの子は絶対に取りたくありませんから、入塾を拒否すると思います。
もともと理解力が同年代より低い上に公文プリント学習で脳みそを破壊されている子の遅れを取り戻すことは恐ろしく難しいことなのです。
労力がとんでもないのに成果がでない。それならもっと可能性のある子を伸ばした方が業者としては報われます。
賢い親御さんの公文を始める時と辞める時のタイミング
小学校入学前の4~5歳という早い段階で学習習慣を身につけさせるために公文を利用する。家庭でも毎日少しの時間でも良いのでサポートする。そして応用力が必要になるような小学校中学年以前にはスパッと辞めさせる。
これが賢い公文の利用法といえます。
計算が速くても基本文章題などないので応用力はつきません。ですから応用力が必要になるような時期にはもう公文の数学は辞めさせる。大変理にかなった賢いやりかたです。
国語、英語はそのままもう少し続けても良いかもしれません。それでも4年生くらいまでには辞めたいところです。
ですから5,6年から公文を始めたり、中学に入ってから公文に行くことはおすすめできません。
未就学児に勉強習慣をつけさせるというのは大変安上がりなベビーシッターを勉強付きで見てもらえるようなものでコスパも非常に良いです。
殆どはそんなに深く考えずに通わせて、共働きで忙しいからプリントを家でみてあげず本人と公文任せではないでしょうか。
だいたい良いタイミングで辞めることを前提に始めるっておかしな話です。
公文の最大メリットは学習習慣を身につけること
この「学習の習慣化」は公文の宣伝でも大々的にやっているものです。
そして習慣は幼い内に身につけるべきものなので、小学校中学年ではもう遅いです。ということです。
そして一旦学習習慣が出来上がったのであればもう応用力がつかない学習内容からは卒業しないといけないのです。
速くて正確な計算など本来普通にできないといけないものですからね。そんなことを学年を繰り上げてどんどん進んでいけてもあまり意味ありませんし得もしません。(公文の算数と数学において)
公文側のメリットはどんな人でも先生にできるのでFC拡大が楽
公文の先生募集ページによりますと公文の先生になるためには教員免許も経験も何もいらないようです。学歴については何も書かれていないので、やる気があればそれも不問ではないでしょうか。
ただ応募時に55歳までの女性であることが唯一の条件となっています。
解き方を教えることではなく、生徒に応じた適切な教材を選ぶことやヒントを与えることが仕事と書いてあります。
これはひとえにプリントの出来が良いので、理解していない箇所の前を遡ったプリントを渡して段階的に解かせれば今分かっていないことも解けるようになるからです。
ですから指導力ではなくプリント力に頼るので子供に安心感を与えられる人柄であれば誰でも公文の先生になれます。
これが簡単に教室を開けてフランチャイズを拡大できるミソです。
そして塾等で指導経験のある先生は約半数いるので、ド素人の方よりも質の高いヒントを出せる教室にあたる可能性は50%ということになります。
しかしその中には大学生の時に塾や家庭教師をアルバイトでしたことがあるというのも当然含まれていてその割合は勘で50%の3分の2を占めているとすれば良い指導者の公文教室に当たる確率は15%ほどとなるでしょうか。
学習障害の疑いがある子は公文に行くと大変なことになる
指導者が優秀じゃなくてもプリントが優秀なので一定の学力がある子どもには問題はないのですが、学力が同学年よりも極端に低いお子さんに対しての対応は素人には無理です。
ですので学力が低い子が公文に行き、その低い学力に対して何の手当もされずにプリントだけ渡される勉強を何年も続けていると手遅れになるほどもうどうにもならない状態に悪化してしまうのです。
何らかの学習障害を抱えるお子さんは近頃大変多いので、そのようなお子さんは最初から公文に行くべきでは絶対ありません。
プロで心がある先生ですと、学習障害の疑いがあるので相談窓口や支援センター病院などを子供の将来を考えて親御さんにアドバイスする場合もあります。
それでも親御さんは子供の学習障害を認めたがらない傾向にあるので、話を分かって貰えそうな親御さんに限ってしないとトラブルになる場合があり大変難しいのですが。
公文のド素人先生ではこの問題に気づきにくいでしょうし、確認できても生徒数が減ると収入も減るので見てみぬふりをする方が多勢じゃないでしょうか。まあこれは塾でも同じでしょうけど。
ただ塾ではそのようなお子さんでもなんとか成績をあげようとその子のレベルに応じた手法を駆使して努力はしてくれると思います。
公文のメリット・デメリットまとめ
まず共働きで家庭学習のサポートが無理な場合は行かないほうが良い。共働きだけれど左程余裕はなく安いから公文!というのが一番多い典型的なパターンでしょうが効果は薄いでしょう。
サポートができる場合で学習習慣をつけるためであればかなり有効。しかし学習習慣醸成に成功したら算数はとりあえず辞めること。他の塾移行を考えること。(小学校中学年までに)
家庭サポートが無理で学力が同学年より劣っておりなんらかの学習障害が疑われる場合決して行ってはならない。
通う場合、未就学でスタートさせ早めに辞めるという辞めることありきの考えだけは頭に入れておいてください。
英語は理解より単純暗記なので学習障害のお子さんにも効果があります。